きょうの"柴ワンとおばさん"

更年期の鬱々に悩みながらも、柴犬とガーデニングライフを語る

保健所のワンコたち

犬を飼おうと決めてから、毎日、保健所と愛護センターの譲渡情報をネットで確認していました。漠然と、将来出会うであろう愛犬との楽しい日々を思い描きワクワクしながらです。しかし、現実は、そう甘くはありませんでした。

 

ある日、保健所のHPを閲覧していると、8匹もの可愛い子犬(3~5か月くらい)の情報が掲載されました。すぐに、担当部署に電話をして見せてもらうことにしました。

 

一か月も前に譲渡講習会も済ませ、準備万端です。この日を待ちわびていたので、気に入ったら、すぐ連れてこようとキャリーバックを用意し、夫と同居の義父母を連れ家族全員で喜び勇んで向かいました。

 

もうすぐ還暦である自分たちの年齢を考え、サイズは中型犬までとしました。そして、成犬ではなく子犬であることを条件に挙げたのは、義父母のT・プードルとの相性が心配だったからです。


実は、子どもの頃に苦い経験をしたことがあります。うっかり拾ってきた野犬に、可愛がっていた先住犬をかみ殺されたことがあり、それがトラウマになっているのです。そのため、保護されている成犬ワンコたちには、申し訳ないが先住犬がいる限り、小さいときからじゃれあいながら育ていけるような子犬を希望していたのです。

 

いざ、可愛い子犬たちと面会です。そっとドアを開けると…。
四畳半くらいの部屋、コンクリート打ちっぱなしの床に大きめの机が置いてありました。その下に隠れこむように、しかも一番隅っこで、重なり合うように子犬たちが身を寄せています。あきらかに怯えきった眼をしており、聞けば、まだ保護したばかりであること、しかも、山奥の野犬の子どもであり、全く人間の存在を知らずに育ってきたといいます。

 

当然、呼んでもチラッと怯えた目で見るだけです。まだ、威嚇することを知らないのか、抱っこしても凶暴性は感じません。しかし、緊張のあまりに、手足をピーンと突っ張らせ震えています。

 

以前、テレビでこのようなワンコを徐々に馴らしながら、幸せな家庭犬として暮らせるように取り組む番組を見たことがあります。心開かせるまでは、そう簡単ではないことは想像できました。

 

しかも、担当の方が追い打ちをかけるように「野犬の子どもだから、サイズはわからない、多分大きくなりますよ」と。たしかに、顔つきはまだあどけないのに、体重は10kgを超えているようでした。

 

先住犬との相性や自分たちの年齢を考え、無理だと決断するまでに、時間はかかりませんでした。

 

しかし、どの子も可愛いワンコたちでした。せめて、先住犬との相性を考えなければ、何とか飼うことができたかもしれません。しかし、心配そうな義父母を前に、うまくしつけができるかどうか、自信がなかったのです。

 

一匹も助けることができずに、罪の意識を感じながら逃げるように帰ってきました。
どうか、どうか、あの子たちを救ってくれる、心優しい人に巡り合えますように、そう祈りながらです。

 

残念ですが、今回は私の飼育条件に合いませんでした。
しかし、保護されてくるワンコには、保護時期が早く、人馴れしやすい子犬や、一度飼われた経験がある人懐こい陽気な子もたくさんいるそうです。今回のように、人馴れしていないとしても、的確で愛情あるトレーニングをすることにより、優良な家庭犬になるワンコたちも、とても多いそうです。
どうか、犬を飼いたいと考えたときには、一度、保健所や愛護センターに足を運んでいただけたらと思います。

 

しばらく、どうしたものかと考えていました。
NPO法人の愛護施設は、より条件が厳しく、年齢制限があり55~60歳までとか、先住犬はお断りとか…。
仕事の都合上、9月の中旬までがリミットなので、今年はあきらめるしかないのかなと…。
また、年齢を重ねるばかりで、残念な気持ちですが。



朗報です。
保健所から10日あまり。あの子たちはどうしたものかと案じていたので、こわごわHPを見てみました。すると、8匹中、6匹が「家族が決まりました」と「トライアル中」となっていました。あと、2匹もなんとか幸せになってもらいたいものです。
あのあと、譲渡会を開催したとのこと。多分、私が行っときは保護されたばかりだったので、あの状況だったのでしょうが、その後のスタッフの方々の温かい努力が実を結んだのでしょう。


本当に、良かったなと思いました。家庭犬として、平和で幸せなワンコライフを過ごしてもらいたいと、切に願っています。